20200924

半年ぶりのブログ更新。どうぶつの森だったら島が雑草だらけになっているレベルの空白です。

9月から、カフカの『訴訟』という小説をドイツ語で読んでいます。

一日一行読み進めるというルールを作りましたが、そのペースでいくと読み終わるのに10年くらいかかりそうです。子育てか?

毎行の原文と単語、日本語訳、訳の過程、感想を1000字前後で書いてnoteで更新しています。ほとんど日記です。順に読む人なんて自分以外にいないと断言できます。それもまたよし。自分の人生を順にたどっているのは自分だけなのだから……。

一行目の記事がこれです。

note.com

日本語訳だけの記事を15行ごとに更新する予定です。

第一弾(1~15行目)がこれです。

note.com

全ての訳にリンクをつけてその行の記事に跳べるようにしたので、意味わからん所とか、変な訳だなと思った所はぜひ跳んでみてください。ドイツ語初級者が苦しんでいる跡をご覧になれます。

 

『訴訟』を全訳して、すべてにリンクがついているという狂ったテクストを一人で作ってみたいという欲求のみで動いています。いつまで続くやら……。

はてなブログでは『訴訟』の感想を定期的に書くつもり。

みんなも読もうぜ、カフカの『訴訟』。

 

20200329

口語詩句新人賞で奨励賞に選ばれました。もう10万円の使い道しか考えてないです(嘘です、就活の資金にすべてなります)

口語詩句奨学生にも選ばれました。よかった、来年度も生きていける。

「基礎としての水」という題で5首選んだので載せておきます、保存として。

 

基礎としての水

火でも沸く電気でも沸く水 無傷

水でみたすための器でない体

塩舐めて海になる 体は眠ってる

パキラが水を吸ってくれて助かる

くるぶしまでしか海を知らない

 

2月と3月の俳句

時間差で聞こえる声 ここにはいない君

「さよなら」を言った口で「いただきます」とも言う

燃やすための国旗 ほとんど二色刷り

ふくらんで しぼむまで風船なゴム

どぶ川に満月 鏡の反射率

横顔が飼ってる犬に似てたから

内臓を想像できないまま死ぬ

口笛をあげたあの子からの手紙

ピンで街を刺さないと留められない地図

愛しかないなら やめます

イメージで生きて イメージで死ぬ 何度も

まだ季語でない名詞群 川に流す

君が君の体をすてて去る理由

いっせーのせで光になる演技

 

20200225

一月の俳句 短歌と短詩も

 

辞書めくる手つきだ どこかにあると信じる

しまわれて 風化するまで 待つ 記憶を

日に二度凪ぐ海の静けさ すべて過ぎた

藍欠いた虹をみる ここまでこれる?

少しずつ 注げば溢れない からだ

断片のままつなげてく 地図にない地名

母の固い結び目をほどく 開戦前夜

詩にすべて費やす越冬資金

履歴書に「愛」と書きたくて嘘をつく

繋がれてないだけで ほら こんなに自由

オルタナじゃノれない 柑橘剥く時の匂い

通過儀礼 通過してなお暗い筒

あたたかい雨 夕立の 美しいだけの記憶

結び目をほどく かたく縛るために

レモンだった頃の記憶で 乗り切る

人類の刑に処されて 常に黄昏

バーミヤンの桃 思い出さなくていいよ

穴だらけの生き物に吹く風もある

膜のような何かを 往き来して 徐々に 小さくなっていく僕

一滴の雨粒に似た心臓に触れ「ここにすべてはありません」

六人家族で 時計を一つしかもってないから 壊れてしまう

冬の朝 辞書【落鳥】に赤引いた 彼は失踪者と認められ

コンタクトレンズの渇れる手洗い場 裸眼がひとり教室にいる

見つめてた時間 代わりに写真撮る

夢でしかいけない場所 ユークリッド幾何学

もとからの孤独 言葉は誤読も愛す

不道徳ならば恋文破り捨てるわけにはいかないでしょう? 初夏

告解の赦しを真似るオウムさえ牧師になるさ、人が消えれば

待ち受けに 光 家族の写真燃やす

欲望のかたち 言葉ではない体

地図帳からソドムを探す子のまなこ

 

20200109

12月の俳句(俳句??)

 

そこにあると分かりすぎて 見えないふりをする

純潔をたもって帰る 朝食は冷めてる

もし君が花なら蘭 僕の部屋の窓辺の

歴史にはならなかったイヴの沐浴

雪 冬の詩歌を包む装飾句

夜行バスがあるなら 夜光バスがあってもいい

一、光りたいならまず光らせてみること

泳いでも疲れない体に生まれた

ABCを数の代わりにする朝餉

食パンを袈裟斬りして 君には大きすぎる

君が海岸の砂であったら済んだ話を

契らずに行く 帰るまで開けておく窓

酢飯冷やして だんだん更けていく夜

手のひらで溶けてもいいから雪を握る

つるつるでありたい 光の束として

そこからが君でここから海らしい

いつも問二をとばす 満点にはさせない

イェイイェイでサビの歌詞だけ聞き取れない

かつて穴だった 形が思い出せない

明日の海にかけてみる

俺たちの敵は俺たち すぐ冷める

小走りじゃ間に合わなかった最終電車

韋駄天神 やがて君にたどりつく夜

日の出では足りない 光る前にまたたく

近すぎて見えない 君も海に感じる

 

20191217

毎月の俳句??掲載ブログと化している。

文章かくの好きだけど書きたいことがあんまりない。

とりあえず11月に詠んだ俳句載せときます。

 

 

パキラが 水を吸ってくれて助かる

神話が嘘じゃなかったってわかった川

君が地図だとしたらその中の川でありたい

そうじゃなくてもよかった過去ばかり覚えてる気がする

打ち上げられてまだ透明な海月たち

振り返ってこっちが前だって言ってほしい

くるぶしまでしか海を知らない

落雷に備える気持ちで着るコート

精一杯の美声で言う「パンプキン」

オーダーメイドの夜に署名するためのペン

夢で三年過ごした後の朝

青ペンで解いて追試と告げられる

マッチする間もなくライター差し出す君だね

最初だけ無料で確率論的に不運

泣いているみたいに歌う 飛んでみて

消したはずのデータ 保存食の季節

日帰りでブラジル旅行 空港泊

冷えすぎたカイロ 君から借りたコートのポケット

柔らかい貝 耳に耳すま

青くても許せ 赤シートじゃ消えない

集って集って 人が人になる季節

ここまでをプロローグと仮定 表面張力

 

今月は22句しか詠めなかったけどなんか忙しかったしまあいいかって感じ。

20191113

10月も頑張って一日一句詠んだよ(まとめて詠んだ日もあったけど褒めて……)

11月の句の進捗ですが、微妙な忙しさと持ち前の怠惰で現在5句しか詠んでません。頑張れよ。

最近筋トレにはまってるんですけど、マジのむきむき野郎になっちゃおっかな。

 

鯨骨生物群集 生かされてます
のびやすい爪 それさえ無価値っていわれたら
弔ってなお余りある忌引き休暇
水道水 冬の季語だとうそぶく教師
馬であったらやり過ごせた夜
「ひんむく」の「ひん」で一気に加速する
墓標として打たれる句点 短文詩
離別の予行練習 目をみて話す
薔薇でめでたすぎるなら カーベラでもいい
破られてはじめて殻になる表皮
運動と食事 死ぬまでやる予定
乾きすぎのTシャツ 人の形じゃない
僕だけで十分な夜 僕以外で十分な夜
前もって愛すというルール下の遊戯
捨てられた種でも芽吹く 生きている
窒息しないように花献ずる手
呪いにも祈りにも聞こえる異語の挨拶
愚者祭 笑えなくなるまで笑え
読み仮名ふってくれたね あじさいって
君のこと、なんて呼んでたっけ 初夏
意味のない分岐 左も右もない
そこで叶う青さの果ての黒もある
放たれてまだ水平な紙飛行機
わたしだって幻みたいって言われたい
問われたら問われたで窮する神
死ぬまで伸びるらしい君の身長
肺に似た石が割れてする発汗
そこにいて ぬれた体もすぐにかわくよ
生をめくって裏にかいてある「あたり」
無人道路 速度あげてく自動車も無人
名付けれら 意味なんて知らなくていい

20191001

9月も一日一首よみました。えらすぎる。

 

塩舐めて海になる 体は眠ってる
鍵のない窓 隔てるだけ 透明な
海みたいとだけ言う君すする蕎麦
ワルツしかおどれない君ちゃんと泣く
半分と少しあげるよ 欲するなら
光を模写して季語に加える準備
波 すべてさらえないならそこにいて
祈る 夜のパーキングエリア無人
ちゃんと泣くべきとき泣くための練習
同じくらい愚か 西瓜を割る国家
薄く切られ 食パン 自立できずしなる
見えなくてもそびえる 耳の柔い固さ
君の速度で飛び込みな バナナ・フィッシュ
触ってる心地がしない 水面に雨
照らされてさらばって 別れっぽくないよ
本当に柔い体だから抱き合える
すべて抱けるっておもった あなたに抱かれたとき
宇宙旅行 我が季語一新される夜
二話目から観るドラマの主人公が分からない
空であって無でない箱 履きなれない靴
そこが海だと過程しても不完全
花を摘む体にやどってしまう温度
そこが海だと仮定しても不完全
炎だと思う かつて光としてた蝋燭
マイナンバー 知らない人の舌も赤い
矢を放つための構え もやいを解く夜
与えられなくても光る 質量なりの大きさ
君に見えて僕に見えないおおいぬ座
向こう岸の匂いとか想像してみる
メルカリで買った詩集にひく赤線
魂がないならないで生きていく
風のもとでからからになって 骨だねって言う肉