20191001

9月も一日一首よみました。えらすぎる。

 

塩舐めて海になる 体は眠ってる
鍵のない窓 隔てるだけ 透明な
海みたいとだけ言う君すする蕎麦
ワルツしかおどれない君ちゃんと泣く
半分と少しあげるよ 欲するなら
光を模写して季語に加える準備
波 すべてさらえないならそこにいて
祈る 夜のパーキングエリア無人
ちゃんと泣くべきとき泣くための練習
同じくらい愚か 西瓜を割る国家
薄く切られ 食パン 自立できずしなる
見えなくてもそびえる 耳の柔い固さ
君の速度で飛び込みな バナナ・フィッシュ
触ってる心地がしない 水面に雨
照らされてさらばって 別れっぽくないよ
本当に柔い体だから抱き合える
すべて抱けるっておもった あなたに抱かれたとき
宇宙旅行 我が季語一新される夜
二話目から観るドラマの主人公が分からない
空であって無でない箱 履きなれない靴
そこが海だと過程しても不完全
花を摘む体にやどってしまう温度
そこが海だと仮定しても不完全
炎だと思う かつて光としてた蝋燭
マイナンバー 知らない人の舌も赤い
矢を放つための構え もやいを解く夜
与えられなくても光る 質量なりの大きさ
君に見えて僕に見えないおおいぬ座
向こう岸の匂いとか想像してみる
メルカリで買った詩集にひく赤線
魂がないならないで生きていく
風のもとでからからになって 骨だねって言う肉