20190415

ノミックっていうゲーム知ってますか。道具が必要ないので人さえいれば開始できる超お手軽なゲームです。ルール引用します。

初期ルール(すべて可変)
101
 すべての競技者はその時点で効力のあるすべての規則を守らなければならない。
 この初期規則集にある規則は競技開始時点で効力をもつ。

102
 規則変更とは、規則の制定、破棄または修正、のことをさす。

103
 競技者は時計回りに手番が回ってくる。

104
 手番の中で行うことは、規則変更を一つ提案し、それを投票にかける。

105
 規則変更は投票が有権者の間で満票であった場合にのみ採択される。

106
 採択された規則変更は、その採択を行った投票の直後、直ちに発効する。
 新しく制定された規則は201番から順次付けられる。
 一度破棄された規則の番号は永久欠番とする。

107
 競技者は常に一票の投票権を持つ。

108
 二つ以上の規則が矛盾するとき、最も若い番号の規則が優先する。

109
 競技者間で、手の合法性、規則の解釈・適用に関して意見の不一致があった場合、
 現在手番になっている競技者の右隣の競技者が判事となり、判決を下す。
 (このような手続きを裁判と呼ぶ)
 判事の判決は、次の手番の直前に行う投票で、当該判事以外の全員一致を見ない限り
 くつがえされない。判決がくつがえされた場合、その判事のさらに右隣の競技者が新
 たな判事となり、再度裁判を行う。以下同様。

 以上なのですが、これつまり定まったルールが提供されてるだけですべて可変なんですよ。全会一致を多数決にしてもいいし、競技者は2票の投票権を持つにしてもいいしかなり自由度が高いんです。終了条件も勝利条件も(勝利は終了? そこも定義可能)決まっていないので作り上げていくのです。僕は授業で70分くらいやったので所感書きます。

・基本的に全会一致では採択されにくいから多数決に変えるよね

・終了条件や勝利条件を決めたがるよね、確かにゲームって言われるとゴールがあるように思うししょうがないかも、個人的には終了を決めずにエンドレスで不毛な議論や新ルール考えるのかなり快感だった

・ポイント制を導入するとゲームがかなりつまらなくなる(勝利しそうな人を勝てないようにできるため)

・新ルールの発想力やゲームという枠組みを理解したうえでの論理的な提案ってのにわりと個人差あるし、その能力でゲームの面白さ変わってくる

・めっちゃ自由

やばで刺激的な時間でした。えーまだまだ面白いこと考えてる人いんじゃんっていう。何をもってゲームとするか。その要素はなにかを考えるうえでかなり重要なものじゃないかな。つまり、勝敗や終了は必須ではないよね。もちろんゲームの多くはそれらを持っているけども。じゃあ何が必須な要素かって言われるとかなり窮するんだけど、そして消極的な定義になっていくんだけど。

①開始がある

②ある種のコンテンツに参与する主体がある

ここらへんがかなりゲームとは何かの議論で大事になっていくことじゃないすかね。めちゃくちゃ曖昧としてて変だけど。

ヴィトゲンシュタインの家族的類縁性だっけ? ゲーム(Spiel)を引き合いにだしてゲームというジャンルにおいて共通する定義ってのは少ないよね。娯楽や勝敗といった要素があるだけでダーツ・ボーリング・テトリスソリティアなどすべてゲームですよ。それは家族的類似をもっているだけで必要十分条件で語れません!!残念でした今までのカテゴリー観!!っつーのだけど。これを巷では言語ゲームっていうんだけど、いわゆる現代的なゲームの定義を探っていくなかでその言語ゲームの最低限のゆるい枠さえ破壊していってるゲームが存在してるの面白いよね。はい、ゲームの話終わり。

 

なんか哲学の授業ぼーっと受けてたら「思想は歴史に先行する」って言いきった先生がいた。めちゃくちゃ感動してしまった。そう言い切れるまでにあなたが経験してきたことも、あなたが勉強してきたことも、すべてが糧となった今あなたは思想をつまりは哲学を教えているのですか、みたいな。授業自体も面白かったよ。てかフランス現代思想ってやっぱ影響力すごいよな。人文学をする上で必ず通るもん。すげー。

20190414

土日、コーチェラ観てた。

BLACK PINKめちゃくちゃクールでダンスもキレッキレで一発で虜になってしまった。

KILL THIS LOVE、全世界でメガヒット(You tubeにMVが投稿されて62時間で1億回再生され、現時点での最速記録)してるのめちゃくちゃわかる。トラックいいしね。やっぱ韓国のアイドルってすごいよ。MVとかのYou tubeにも力入れてるし。

ビリー・アイリッシュちゃん。17歳なのに凄すぎない!?!? なんなん。会場が大合唱状態でめちゃくちゃうらやましかった。歌うまいと浮くんだね。あと歌詞忘れて「ファック、なんつー歌詞だか忘れちまった」みたいなこと言ってるの萌えた。

他にもいろいろ観たけどこの二組がまじでめちゃくちゃ楽しかったのでやっぱエンタメ大事だなと思った。人生におけるエンタメのある種の治療的な作用というか、まあ健康的な酩酊状態というか。アイドルの効用ってなんですかね。僕は現実には存在しないものを存在させる力をもった人々が存在するという事実の提供だと思います。存在存在うるせえよ。でも真面目にa certain romanceを提供する力ってこれまでの小説や音楽や演劇などの物語を前提とした物語ではなくて、そのフィクションーフィクションの関係ではなくてフィクションーノンフィクション(もしくはメタフィクション)の部分ってかなり人間の力になると思う。

なにがいいてーかっつーとアイドル最高って話だよ。だからこそNGTの問題とかはその現実的な問題はもちろん、アイドル的なフィクション世界の破壊って点でかなり炎上してんじゃないの?

てかビリーアイリッシュちゃんの話に戻るけど、彼女のファッション最高じゃない?めちゃくちゃ白いくてダボっとしたストリート感満載の服装よ。そして身ぶりよ。いやー、微妙に未熟な身体性も込みでいいよね。ガンビーノは完成されすぎて興奮するんだけど没入よりは観察の目が勝っちゃうよね。ガンビーノもすごかったけどさ。

20190411

 なんかいろいろ無理になってたので日記なんて書いてる場合じゃなかった。

 スニーカー届いた。最高……。スニーカーは最高。てかadidasのウルトラブーストのめっちゃ最高では。超走りたくなる。

 忙しくはないけれど映画を観る暇はない。辛くはないけれど渇いてる感じするよね。

 なんか創作しようかなって思ったけどつねに俳句や短歌は作ってるのでこれは長い物語を書きたいってことなのかな……。ただ長い物語を書くのは大変なのです。文章の息みたいなのが短いのでそれを長くするには訓練が必要だからです。深く潜るには深く潜るための訓練と深く潜るときの覚悟が必要ですよね。

 『グラン・ブルー』っていう『レオン』のリュック・ベッソン監督が撮った映画があるんですよ。実在のダイバーを基にした作品なんですけどラストシーンがすごく美しくていいので是非。ラストシーンがいい映画は終わりよければすべて良し的に好きなんですよ。『トーチ・ソング・トリロジー』とか『ファイト・クラブ』とか。うまく物語がまとまるのではなくて、まだなにも終わってない、まだなにも始まってない、っていうほうがね……。だって人生に終わりはないでしょ? 死は生の一部だし、生は死を用意するけれど、生は死ではないしね。一回しかないってことは無限ってことじゃないですかね。ここらへんの感覚はとても個人的だけれど。

20190408

 新学期初日。歩く。シンクタンクおじさん。帰る。昼飯。歩く。メディア文化学概論・コンピューターゲーム論・女性スポーツ英文。疲れる。帰る。夜飯。

 

 昨日から体の調子が悪い。咽喉の痛みと鼻づまりと微熱。風邪の初期症状やん。  

 Officeのライセンス取得や住民票印刷したり携帯を格安simに変えたりいろいろ頑張った。あとは寝るだけ、とかだったらどれだけいいことか。ドイツ語の勉強しなきゃね。

 なんか水分をめっちゃとって講義中にめっちゃ尿意くるのやめてほしい。尿、どっかいってほしい。なんて馬鹿な文章ッ。

 仮眠の威力を久々に体感した。15分だけ寝るの、成功したらめちゃくちゃ疲労の緩和に効く。ダリは鍵束を指にかけて椅子に座って仮眠したらしいです。意識がなくなって指から鍵束が落ちると音で目覚めるという。鍵を一つも持っていない(!)私は15分でアラームをセットしてすやすやと眠りにつくのですが。

 大学院に入った同期の子の卒業祝いしてないのでしようねって話になった。寿司食べたいねって。寿司、食べたいねって。

20190407

 新年度の憂鬱な気持ちと今月の自分の誕生日を祝うためにスニーカー買った。自由に使用できる金銭的規模が小さいので確かには分からないけど、買い物中毒の気がある。必要のないものでも買いたがるし、消費ではなく購買自体がストレス発散にかかわってるし……でも執着がなく、モノをすぐ捨てられるのでただただお金が減っていく。なんだ? 馬鹿か?

 買い物中毒で思い出したけど『トニー滝谷』っていう映画観てください。原作が村上春樹の短編なんだけど宮沢りえが買い物中毒の麗人を演じているの本当に拍手したくなる。『紙の月』を観た時も思ったけど、宮沢りえさんそういう役がハマりすぎるね。あとイッセー尾形さんの演技もすごい。あれ? 滝谷トニーさんってフィクションの人物だよね? って不安になる。

 調べたらメイキング映像がDVDのプレミアムエディションにはついているらしいので(『晴れた家』として劇場公開されている)そのうち観ようと思います。

 『シェイプ・オブ。ウォーター』観ました。感想は特にないかな……。なんか衣装がみんなかわいかったね。

20190406

 『存在の耐えられない軽さ』を読み始めました。めちゃくちゃ面白い……。昔同じ部屋に住んでいた人がクンデラー(クンデラを読む人)でたくさん著作持ってたのでその時期も少し読んでみたんですけど、今読んだら面白かった。これだから生きるのはやめられないぜ。頭殴られた文章を載せますね。

一度だけおこることは、一度もおこらなかったようなものだ。人はただ一つの人生を生きうるとすれば、それはまったく生きなかったようなものである。

  あー……ヤバ……。「一度は数のうちに入れない」っていうドイツ語の諺から紡ぎだされるこの文章よ。繰り返されること、反復のイメージが好きなのは究極的にはそういうことなのかもしれない。現実的な質感を与えうる唯一の手段が反復なんじゃないだろうか、あまりにも軽くてあまりにも孤独な人生に対して。

 クンデラの『不滅』もオススメされたので次に読みます。

 

 昨日、中村佳穂さんのライブがyoutubeで配信されてたので視聴しました。中村佳穂さんほんと好き。ピアノ弾くときに片足立ててたのやんちゃでキュートだった。あと声。彼女の震えるような哀しい響きの声にめちゃくちゃ弱い。たぶん即興でピアノ弾いて「今日は来てくれてありがとう」的な内容のポエトリーリーディングしてたんだけどそれがかなり良かった。即興性の魅力ってたぶん予定していなかったものがでるところだと思う。本人すら意図していない表現が飛び出て興奮する。表現的には稚拙になりがちだと思うんだけど、その無駄が愛おしい。論理や計算を飛び越えた素朴さや素直さの調和ですよ。Harmony and Beautifulですよ。よかった。彼女のライブ行きたい。

20190405

 久し振りに映画館に行った。映画館は大きな画面と大きな音で観られるのですごく体験的には面白いのだけれど、座りっぱなしキツいしトイレ我慢しなきゃだし周囲の人に気を遣うしであまり快適ではない。だから映画は大好きだけど映画館には行かずにパソコンやテレビで済ませてしまう。

 だがしかしですよ、映画館のいいところはもう一つあってですね。DVDやネット配信されていない作品を上映してくれるところです。東京の非シネコン(? ミニシアター系っつーの?)は企画をいっぱいやってるし最近だと濱口竜介さんやフレデリック・ワイズマンの特集をしてた。『親密さ』と『動物園』がここ数年の観たい映画ランキングの1位と2位なのでその時期に東京にいなかったことがとても悔しい。『親密さ』はこれから濱口さんが活躍していくにつれてDVD化とか上映会があるだろうけどワイズマンの『動物園』はもうこの先何年かは観られないだろうな……。

 で、ですよ。イ・チャンドン監督の『バーニング』が作品的にはねたので彼の『ペパーグリーン・キャンディ』と『オアシス』が全国的に上映されていたので観てきました。ぶっつづけで。6時間。疲れたというより作品が良すぎてポカーンとしてます。

 イ・チャンドン監督自体全く知らなくて、村上春樹の『納屋を焼く』を映画化するということで『バーニング』だけ観ようと思ったらなんか他の作品もヤバだぞと耳にしたのがきっかけで、これから先観ることないだろうなと思って行ってきましたよ。こういう出会いかなり大事。一期一会馬鹿にしたらあかん。タイミングって大事。

 何がいいってさ、二つとも脚本がまずいいんだよね。構成が練られているし、映画的に新しい手法もあって普通にうなってしまった。なんだよあの演出。特に『オアシス』ね。前日に『アロイス』観てたので微妙に重なって終始「あー……やば……」って思ってた。比喩がめちゃくちゃダイレクトなんだけどそれがあの二人にとってはほとんど世界といっていいくらいのものになっていて、それに対する挑戦ってつまりさ、あれが愛じゃなかったらなんなのってなった。

 『ペパーミント・キャンディ』を観てて思ったこと。この作品は男の人生を7つの断章に分けているんだけど。まず一つ目の章で男が自殺するのね。それで徐々にさかのぼっていく的な。男がどんどん無垢で未熟で傷つきやすくなっていくのは構成的に面白い。結末を知っていてなお、男がその運命に抗うことを視聴者は願ってしまうのは悲惨すぎるよ。だってすべて裏切られるんだもん。『オアシス』も割とシュン……となったんだけど『ペパーミント・キャンディ』のほうがダイレクトで悲しくなった。運命の逃れ難さよ。そして物語に絶えず顔をのぞかせる彼の希望だったモノたち。ペパーミントキャンディ、カメラ、初恋の女。

 あと個人的な好みとして始めと終わりが同じっていうのめちゃくちゃグッときた。これは性癖の話ですが。劇中劇が好きだとか、群像劇が好きだとか。構造の話です。

 とにかくイ・チャンドすげえよ。『バーニング』をめちゃ観たくなった。来週観に行く。みんなも映画観よう。映画じゃなくてもいいけどさ。なんでもいいんだよ。とにかくここにはないものを探しに行こうよ。